ドイツに住んで長い私であるが、昨秋母の入院に付き添い、日本での入院を何十年ぶりに体験した。 驚いたのは現場での看護職の多さだ。 OECD の統計によると、人口千人当たりの看護職員の数はドイツと日本はほぼ同じ 12 人だけれど、 1.5 倍くらいいるように見えるのだ!なぜだろうか。ドイツはパート勤務が半分を占めるのと、有給休暇ほぼ全部消化する上、欠勤がとても多い。日本は欠勤もパートタイム勤務もまだまだ少ないと聞いている。 OECD の統計の取り方はわからないけれど、おそらくこの差は実働時間の長短からくるものではないか。 看護職が多く見えるのは、看護師によるものだけではない。ドイツのナースステーションでは姿を見ることのない事務職員さんが活躍していたのだ。ドイツだったら看護職員がするであろう、病床への案内や滞在中の注意、金銭・事務的な事を患者さんに説明していた。看護職員は医療に集中できるわけだ。ナースコールを押すと割とすぐに来てくれるし、飛躍しがちな高齢の母の話にも耳を傾けてくれた。ナースコールが形骸化していた(最近は少し改善したが)ドイツから来た私にとっては天国に見えた。 でも、後から天国にも落とし穴があったこともわかった。 母が受けたのは、ドイツだったら高齢者であっても数日(若い人なら日帰り)で退院するような軽めの手術だった。 2 日後にはほぼ回復していたのに、入院は 5 日と長かった。これが後遺症を残した、と私は思っている。退院後、自宅に戻ったら、玄関の段差が克服できなくなっていたのだ。「よいしょ」と声をかけながら何度も試みたが、できない。長い入院により、元々弱かった足腰がさらに弱ってしまったようだ。その結果、その後は立ち上がることも難しくなり、自宅に住むことができなくなってしまった。 ドイツは約 20 余年前、それまでは国際比で長かった在院日数を短くするため、患者を短時間で退院させるほど病院が儲かる仕組みに変更した。以来、傷が完全に治っていなくても退院させられことが増え、患者にはしんどい制度になった。メディアでは「出血退院」などと批判もされた。一方で在院日数短縮は、医療費削減のためだけではなく、患者の健康回復のため、とも当時言われていた。すっかり忘れていたが、今回はこれを母の身をもって体験させられた形だ。そして、患者に厳しめのドイツの...
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