アメリカでの滞在中に、 AARP のスピーカーのお話を聞く機会がありました。 AARP は、高齢者の生活や権利を支える全米規模の高齢者支援・アドボカシー団体です。その活動はサービス等の提供にとどまらず、「どのような社会で暮らすか」という視点を大切にアドボカシーに取り組んでいる点が印象的でした。 創設者である Ethel Percy Andrus は、「 to serve, not to be served (仕えるために存在する)」という理念を大切にしていたと言われています。この言葉には、高齢者を「支えられる存在」としてではなく、社会の中で役割を持ち続ける存在として捉える姿勢が表れているように思います。こうした考えのもと、 AARP では高齢者の権利を守るための強力なアドボカシー活動から、地域社会を豊かにする草の根活動まで幅広く展開しています。 今回は、「 AARP Livable Communities 」という取り組みを共有したいと思います。これは、高齢者にとって暮らしやすい地域は、結果としてすべての人にとって暮らしやすい地域になる、という発想に基づいたものです。歩きやすい道や安全な横断、気軽に休める場所など、日常の中での小さな環境の積み重ねが、人の暮らしを支えているという視点です。 今回、特に関心を持ったのが、その一環として行われている AARP Walk Audit です。 Walk Audit は、住民自身が実際にまちを歩きながら、歩道の安全性や横断のしやすさ、見通しの良さ、休憩できる場所の有無などを確認していく取り組みです。専門家だけではなく、「そこで暮らす人」が自分の感覚でまちを見直すという点に特徴があります。 この話を聞きながら、認知症の人の暮らしのことが自然と思い浮かびました。 たとえば、少し分かりにくい道や、渡るタイミングが難しい横断歩道、途中で休める場所がない環境は、誰にとっても負担になりますが、認知症の人にとっては、外出そのものを控える理由にもなり得ます。 私たちは、認知症の人の暮らしを考えるとき、どうしても医療や介護といった側面に目が向きがちですが、日々を過ごす「まちの環境」もまた、大きな影響を与えているのではないかと感じます。 Walk Audit の興味深い点は、特別な知識がなくても、「歩いてみる」と...
ILC-Japan
国際長寿センターは1990年の設立以来、エイジズムに反対し、豊かで創造的な社会を目指す国際長寿センター・アライアンスの「プロダクティブ・エイジング」の考え方に沿って活動してきました。 私たちはかねてから日本の長寿社会に関する情報について調査研究やイベント結果の発信を報告書やHPで発信してきましたが、より機動的にまた読みやすい形で発信するためにブログの形式も利用することとしました。 内容は、現在の日本の高齢者と高齢社会のすばらしい事柄から、課題や方向性など含めながらコンパクトな記事を用意していきます。 ご愛読をお願いします。