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イマドキシニアの日常生活#10 手を取り合って 元気を交換

 人生100年時代になり、私たちは長寿を享受できるようになりました。

平均寿命の延伸⇒健康寿命の延伸を目指してまいりましたが、これからの日本はさらに「貢献寿命」の延伸を目指していく時代に突入したと言えます。

貢献寿命とは、「社会や他者に貢献できる期間」を指し、健康寿命を超えて、人が生涯を通じて社会に役立つ存在でいられる時間のことです。

  

「今日は無料でハンドマッサージを受けられますのでどうぞ」

ある車のディーラーを訪問した際、受付でそう案内された。「ラッキー!」即座にお願いした私。

 ショールームの一角にマッサージスペースが設置され、2人の施術者が待っていてくれた。右側には若くて初々しく、マッサージに使う化粧品を丹念に確かめている女性、左側には準備万端でデンと構えてニッコリ笑いかけてくれた年配の女性。

迷いなく私はまっすぐに左側へと向かう。胸には「遠藤」の名札がつけられていた。

「よろしくお願いします。」お互いに挨拶を交わすと私の手を取ってまずは全体の凝り具合を確認。次に乾燥度、ささくれがないか、爪に異常がないかを丁寧に見てくれた。そしてクリームをつけて肘から指先までを優しくマッサージ。

「指が結構凝っていますね。パソコンを使うお仕事なのかしら。ここをよくほぐしてあげるといいですよ。」「肘は自分では気づかないけれど、意外と後ろから目立つところなので、きちんとケアしてあげてね。」「あら!小さくてかわいい爪。でも乾燥しているみたい。ハンドクリームを爪にもよく刷り込んであげると艶々してくるわよ」様々なアドバイスをポジティブに絶妙なタイミングでしてくれる。

「遠藤さんはさすがにおきれいですね。この業界は長いのですか?」私が尋ねると、「フフフ。一番の年長者です。78才ですもの。」「ええええ!!!本当ですか。とてもお若く見えます。」驚愕する私を見て嬉しそうな顔でつづけた。

「〇〇化粧品の美容部員を長い事やってまいりました。今は毎日出勤するのではなく、こんな風にあちこちに出向いて出張美容部員として働かせていただいています。お客様の手を取って拝見すると疲れ具合とか、その日の体調が分かります。それをお話をしながら心と体の両方をほぐすことができるように努めさせていただいています。マッサージが終わって、フワフワになった手をご自身で触れられた時のお客様の顔を見るのが好きなのです。」「なるほど、元気の交換会ですね。」私が言うと、遠藤さんはパッと顔を輝かせ、「あら、いいことおっしゃるわね。本当。手から手へ元気の交換ね」と花のように笑った。

 




彼女の年代の女性が長く仕事を続けてくるのは大変なことだっただろう。そして今も働き方を変えながら継続している。会社の理解はもちろんだが、彼女は女性の働き方を切り開いたパイオニアの一人だったのかもしれない。美しい日本語を話す女性にも久しぶりに会ったような気がする。


「女性も、いや女性だからこそ、こんな風に美しく、エレガントに、たおやかにいつまでも働き続けることができるのです。」

ハンドマッサージを終え、キリっとした姿勢で柔らかい笑みをたたえながら、キビキビと無駄のない所作で働く遠藤さんの姿はそう物語っているような気がした。

<鹿嶌真美子>

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