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認知症の人の暮らしを考える #4 「自分ならどうする?」を問い続ける――ケースメソッドでひらく学び

  認知症とともに生きる人の「暮らし」を考えていくとき、日々の生活に関わる多様な人の存在が欠かせません。中でも、地域づくりのキーマンとして各市区町村に配置されている「認知症地域支援推進員」のみなさんは、本当に心強い存在です。   ここ数年、いくつかの自治体で推進員のみなさんとご一緒する機会がありました。研修の企画や講師、あるいは現場での日頃の悩みをお聴きする中で、私自身、この役割の「大きさ」と「難しさ」を、これまで以上に強く感じるようになっています。   実は、推進員になる方の多くは、もともと目の前の一人ひとりに向き合う「個別支援」を中心にしてきた方々です。それが推進員になった途端、「地域づくり」という大きなミッションを担うことになり、その役割の変化に戸惑ってしまう方も少なくありません。   現場のリアルな声に耳を傾けると、こんな切実な思いが聞こえてきます。 「推進員の役割が職場で十分に理解されていない」 「目の前の業務を回すだけで精一杯で、地域に十分目が向けられない」 「地域の方にどう伝えればいいのか、自分の言葉が見つからない」   さらに、地域の中には「認知症になったらおしまい」「どうすれば予防できるか(ならないで済むか)」という不安や先入観が、想像以上に根強くあります。もちろん、地域の人たちは悪意があるわけではありません。けれど、その言葉やまなざしは、認知症のご本人やご家族にとって、ときに「見えないバリア」となって、立ちはだかることがあります。   このバリアを前にして、推進員のみなさんは「自分に何ができるだろう」「どうすれば、この先入観を少しずつ変えていけるだろう」と問い続けています。その問いに向き合うために大切なのは、ご本人の声を聴くことはもちろん、「知識として学ぶだけでなく、実際の場面を自分自身の言葉で考える機会」をつくることではないかと考えました。そこで、文部科学省の研究費助成( JSPS 科研費 JP21K01985 )をいただき、仲間とともに「ケースメソッド」を用いた研修教材の作成に取り組んできました。   ケースメソッドとは、ビジネススクールなどでも活用されている学びの手法です。「ある困難な場面に直面している主人公」になり...