一昔前、定年後の男性はぬれ落ち葉などと言われ、地域に根がないために仕事も趣味も仲間もなく、妻に頼り切って離れようとしないとされていた。 現在は、女性も定年まで働く人が増え、地域に居場所がなく男性と同じ現象が起きつつある。実際、長く老年学の世界で研究者として活躍していた方でさえ、自身が退官を迎えるとなったとき、「さて、何をしたらよいか」と首をひねったという。 かくいう私も定年年齢が見えてきた今、その後続く 40 年ともいわれる長い月日をどう過ごすのか決めかねている。 そんな中で出会った先輩女性たちの輝く姿に勇気をもらった。 「私、パンオタクなのよ。」 3 年前にオープンしたパン教室の S 先生はそう語ってくれた。 もともとは大手クッキングスタジオのブレッドコース講師として長く働いていた。それがコロナ禍でレッスンができない日々が続き、教室の統廃合が行われると、給与の高いベテラン講師がカットされるようだといった噂が流れ始め、なんとなくザラザラとした空気がスタジオ内でも流れるようになった。そんなある日、同じ教室で働いていた D 先生が「ねぇ、この際、自分で教室をオープンしようと思うんだけど、一緒にやらない?」と声をかけてきた。 S 先生としては、漠然とパン屋でパートとして働こうかなと考えていただけに、「え?無理無理。私、自営の経験もないし。」と一度は断った。しかし、教室の物件探しや内装工事業者探しなどの面倒なことは全て D 先生が引き受けてくれることに加え、 D 先生が大病を経験しており、残りの人生を自分も周りの人もハッピーに過ごせるようにしたいという熱い思いに心を動かされ、それならばと 2 人で立ち上げることとなった。 コロナで資材が届かない、良い物件がみつからないなど、さまざまな苦労がありつつも、 1 年半という超スピードでオープンまで漕ぎつけた。 S 先生と D 先生の性格は正反対。 D 先生はインテリアや小物など細部にもこだわりたいタイプ。一方の S 先生は「パンさえ作れればなんでもいい」タイプ。それが運営上、良い調和となっている。 2 人のレシピもほぼ重ならない。 D 先生は季節を意識した遊び心満載の変わり種レシピ、 S 先生は凝った成形のパンや蒸し器を使った中華系のレシピなど。 2 人で...
It’s been over two years since my mother started showing signs of dementia. Looking back, and comparing my feelings now and back then, I think things were harder for me when I started noticing those signs. At that time, I felt cursed by my knowledge and experience as a gerontologist, who had a plenty of opportunities to meet people with dementia and their families. Why? Because I noticed these signs sooner than other family members did, which made me feel depressed all alone. Back then, dementia was someone else’s problem for my family, including my father and mother. But me, my mind was going in circles like, “She may have it,” “No, I’m just thinking too much,” “Well, maybe I’m not.” Every night I went to bed, I would pray to the night sky that I was thinking too much. Or maybe that was not what I was praying. I may have wanted to lean on someone, or something, because I knew she had it. What changed my depressing feelings was a study group ...