「わたしね、この時期があまり好きじゃないの、だって一年で1番コドクを感じるから」
毎年、年末に近づくと思い出すのがこの言葉。
言葉の主は、リーダーとまではいかないけれど、体操グループでいつも楽しそうな雰囲気で場を盛り上げるMさん。
10年以上前にご主人を看取り、今は、体操グループ以外にも色々な活動に参加するアクティブな80代。
お子さんの話はあまり聴いたことがないのだけれど、遠くに住んでいるのか、すれ違いがあるのか、あまり行き来はない様子。
それを補うわけではないけれど、「日常で頼れるのは近くの仲間」というのが一人暮らしを続けるためのMさんの持論。
ゆるやかに多様な100のつながりを自分の周りにつくることが大事。
誰かの100のつながりの百分の一になることも大事という百人力の研究をしているワタシにとってMさんはお手本の様な人なのだけど…。
そんなMさんの口から一年のコドクの話をうかがった時には、正直なところ、かなりビックリした。
いつも居場所になっているコミュニティスペースはお休み、仲間もそれぞれのお家の行事で忙しくて誘いづらい、というのがコドクの原因。
街を歩けばクリスマスやお正月ムード、テレビを観れば里帰りに新幹線を待つ家族の楽しそうなインタビュー。
せめてもとおせちの黒豆を煮たのだけど、食べているうちに、あっ、私、一人なんだ…と悲しくなった…とポツリ。
確かに、地域のサロンなどをやっている人も子ども家族が来たりで、年末年始はほとんどの場が活動をお休みするわけで。
遠慮と、ひとりぼっちを知られたくないという多少の見栄もあって、仲間への電話もLINEも控えてしまったり。
そんなMさんのお話から考えはじめたのが、楽しいはずの年末年始に毎年のように襲ってくるコドクの和らげ方。
だって、日本もこれだけひとり暮らしが増えていて、誰もが直面する可能性のある課題だから。
たかだか1〜2週間の話だけれど、老いを感じることが増える毎日のなかで、毎年のように繰り返される負の影響はかなりなもの。
多分、ひとりでずっと生きてきた人よりも、歳を重ねてひとりになった人の方がツラいはず。
海外では家計を直撃する光熱費の負担を減らすという名目で、クリスマスシーズンに教会や公民館を開放して居場所を提供するなんていう話を聴くけれど…。
Mさんは行かないだろうな…、そんな人ばかり集まっているところってなんか気持ちが向かないわ〜と仰りそう。
まだまだ解決策は見えないけれど、ワタシなら馴染みのない場に集められて特別な食事やイベントを開催して貰うよりも、年末年始にひとりは寂しいという考えから解放してもらいたいな…。
お正月が終わった後に、せっかくだから韓国ドラマを一気見したら楽しかったわ〜なんていう、自慢をして仲間を羨ましがらせたいな…。
いつものプロダクティブは、楽しいことを身近な誰かにシェアすること。
でも、年末年始のプロダクティブは、楽しいことを自分が自分にシェアする特別な時間、そんなふうに置き換えられたらよいな…と考える師走です。
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東海大学健康学部健康マネジメント学科
ウェルビーイングカレッジ
澤岡詩野(SHINO
SAWAOKA)
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健康学部公式サイト:https://www.tokai-kenko.ac/
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