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推し活とプロダクティブ#12 「好き」がつなぐ多世代

日本の誇れる文化や歴史、モノやヒトは色々ある。
でも、日本のなかだけにいると気がつけないことも少なくない。

その一つが、走っている地域で全部違う、地域のなかでも違う車両の新幹線。
フランスから鉄道好きの友人が来た際に彼が最初に驚いたのは、スーパーエクスプレス、新幹線のデザインの素晴らしさ。

のぞみにはやぶさにこまちに、少し鉄道好きな人ならE5E7に、車両の種類で保育園の子どもたちの会話が成り立つくらいに日常に鉄道が浸透している日本(ワタシが鉄道好きだからそう見えるのかもしれないが)。
東北新幹線の異なる車両、はやぶさとこまちが駅で連結するというパフォーマンスをわざわざ観に行くオトナもいるくらい。

駅では、鉄道好きな親子(ワタシとうちの9歳)の横でカメラを構えた青年とシニアが東海道新幹線の新型車両を眺め、お互いになんとなしにワクワク。
そんな姿が見られるくらい、新幹線、鉄道は好きを呼び起こすツールだったりするのだけれど。

そんな鉄道好きの聖地、鉄道博物館に先日、うちの家族と友だち家族と出かけた時のこと。
まず入り口で感じるのは、働く人もお客さんも鉄道好きなので、好きが溢れかえる空気、ワクワク感。

そのなかでも特に好きが爆発しているのが、ボランティアガイドとして活躍する鉄道会社をリタイアされたシニアのみなさん。
偶然、若手(60代)がベテラン(70代後半?)ガイドのツアーについていき、研修をうけるところにでくわしたのだけれど。

一緒懸命にメモを取りつつ、隙間時間には新幹線をなでる姿、嬉しそうに通り過ぎるお客さんに声をかける姿はこちらまで幸せになってしまいそう。
広すぎる館内、覚えることもたくさん、慣れないガイドという仕事、60代の新人には大変ないことも少なくないはずなのに…、なぜか楽しそう。

多分、好きなことの延長、好きなことを誰かにシェアする喜びがボランティアとしての原動力になっているのかな…。
むしろ好きなことを誰かにシェアさせてもらえてありがとうという気持ちなのかもしれない。

こんな姿を眺めながら思い出すのは、街の観光名所をガイドする住民ボランティアの姿。
プロダクティブって、溢れる好きを誰かにお裾分けできることなのかな〜と、改めて感じる鉄道博物館。

そうならば、好きを気軽にシェアできる、そんなプラットフォームが必要なのかな…。
今ある仕組みは、活かせる経験や能力なんかを問われてしまったりで、もう少しゆるやかな感じがよいのかな…。

さらに言えば、ガイド系は歩けなくなると厳しくなったりで、若手のアドバイザーになったり、形を変えて続けられる仕組みが必要なのかな…。
いや、好きを人に話せるのが嬉しいわけで、ガイドとして動いて頂く側に、脚が悪くても活躍できる配慮を考えていくことが求められるのかな…。

これがうまくまわっていけば、好きをタネにした世代間交流になるわけで。
前回のblogにも書かせていただいたのだけれど、既にあるタネを少しの工夫をするだけで笑顔の輪っかが広がっていくのかな?なんて考えた鉄道博物館での時間^_^


            写真:黄色いベストがボランティアガイド

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東海大学健康学部健康マネジメント学科
ウェルビーイングカレッジ
澤岡詩野(SHINO SAWAOKA

jzt1864@tokai.ac.jp
健康学部公式サイト:https://www.tokai-kenko.ac/
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